1300年の伝統工芸「小川和紙」を知ろう
「小川和紙」として知られる小川町は「和紙のふるさと」と呼ばれ、その歴史はおよそ1300年ともいわれています。そして、昔ながらの製法で作られる手漉きの和紙作りは現在も脈々と受け継がれています。
緑豊かな山々がある小川町周辺は、和紙の原材料となるコウゾ(クワ科の落葉低木)が多く生育していたことから、この地に職人が集まり和紙作りが始まったとされています。774年 (宝亀5年) の正倉院文書には、「武蔵国から紙が納められた」という記述が残っており、江戸時代には「小川紙」として江戸中に知れ渡り、和紙の一大産地に発展したそうです。
中でも原材料のコウゾだけを使い、伝統的な製法と用具によって作られる「細川紙」は、国の重要無形文化財(1978年)やユネスコの無形文化遺産(2014年)などに指定されています。もともと「細川紙」は、紀州高野山の細川村(現・和歌山県高野町)で漉かれていた「細川奉書」で、その製造技術は江戸時代中期頃に小川町周辺にも伝わりました。その和紙は、素朴ながらも光沢があり、丈夫で毛羽立ちにくいなどの特徴があり、主に帳面用紙などに使われていました。
小川町周辺では、「細川紙」のほかに、障子紙や蚕卵原紙、大和塵紙など多くの種類が作られ、江戸の紙の需要を一手に引き受けていました。
それらの伝統技術は現在にも継承され、近年では手づくりの優しさや温かみなどが見直され、壁紙や障子、照明など生活の中に取り入れたり、便箋やはがき、包装紙などに使われたりと用途は広がりを見せています。
小川町和紙体験学習センターは、本格的な紙漉き和紙作りができる施設で、昭和初期に埼玉県製紙工業試験場として建てられた施設を利用し、1999年10月に開館しました。気軽に紙漉き体験ができる入門コースや、紙漉き体験を中心に行う1日体験教室、原料作りから紙漉きまでを総合的に行う 4日間総合体験教室が開催されています。ただ紙を漉くだけではなく、もう一歩踏み込んだ体験と学習ができるのが特徴です。和紙作りについて深く学んでみたい方にはおすすめの施設です。