歴史と伝統文化が息吹く城下町
岩槻の人形作りは、江戸時代初期、日光東照宮の大規模な造替に携わった工匠たちが岩槻にとどまり、人形作りを手がけたのが起こりとされています。昔から岩槻周辺は桐の産地で、タンスなどの桐細工作りが盛んでした。その中で出る「桐粉(とうそ)」は良質で、岩槻の水も「胡粉(ごふん)」を溶くのに適していました。これらの材料で作られた「桐塑(とうそ)人形」は、丈夫で精巧度が高く、量産できることから地場産業として急速に発達しました。
岩槻の人形は、衣装着人形とも呼ばれる「岩槻人形」と、筋を彫り入れた胴体に布地を埋め込む「江戸木目込み人形」の2つに大別され、江戸時代から続く伝統技術・技法・材料で作られています。これらは国の伝統的工芸品に指定されています。
街中がひな祭り一色に染まる「まちかど雛めぐり」
毎年、桃の節句の時期に開催される「人形のまち岩槻・まちかど雛めぐり」(実行委員会主催)は、「観る・創る・食べる」をテーマに約1ヵ月間、街中がひな祭り一色に染まる一大イベントで、2016年で13回目を迎えました。 期間中、人形店や人形工房だけでなく、岩槻駅周辺の商店・施設に岩槻人形の職人の作品や商家や旧家に古くから伝わる人形などが展示されます。さまざまな人形が一度に楽しめるので見ごたえも十分です。また、各イベント会場では「江戸から昭和の人形展」や「創作つるし雛展」、小学生による「創作ひな人形展」などが開催されるほか、今年は特別企画「つるし雛と老舗のコラボレーション」が初めて行われます。鈴木酒造・酒蔵資料館、陶・わた忠、大正館、東玉人形の博物館の老舗4軒につるし雛が彩ります。 週末には、木目込み人形やつるし雛、ひな絵手紙などの製作体験も行われ、毎年人気を集めています。そして、飲食店や菓子店では雛めぐり限定メニューが用意されているので、ランチやおやつ、お土産にぴったりですね。その他にもフォトコンテストやスタンプラリー、関連イベントなど盛り沢山。開催初日には「オープニングイベント」、3月6日には「ひな祭りイベント」も開かれ、お雛さまパレードやよさこい踊り、演奏会、岩槻物産市などが行われます。