「ようばけ」の巨大さに圧倒
小鹿野町にあるおがの化石館でまず目に飛び込んでくるのが、建物の背景に広がる「ようばけ」と呼ばれる地層です。露出した地層は高さ約100メートル、幅約400メートルにもおよび、国指定天然記念物や日本の地質百選に選定されています。「はけ」とは、秩父地方の方言で「崖」のことであり、陽のあたる様子から名付けられたと伝えられています。第三紀層と呼ばれる「ようばけ」の地層からは、その時代に生息していたクジラやサメ、カニ、貝類などの貴重な化石が数多く発見されています。
化石館に入ると出迎えてくれるのが埼玉の奇獣パレオパラドキシアの標本骨格です。今からおよそ1,500万年前(新生代第三紀中新世)に日本と北アメリカ西海岸の海辺で生息していた哺乳類で、おがの化石館と同じ地層が分布する長若地内から、昭和56年にパレオパレドキシアの化石が発見されました。板状の胸骨など、風変わりな歯や骨を持っていて、古生物学的に不明な部分が多く、世界の奇獣とも呼ばれています。